経営者保険とは
- グッドリンク
- 2 日前
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経営者保険と一般的に聞くことがあると思いますが、皆さん保険に関しては難しいと仰る方も多いです。今回は、私が今まで最も多く広く大切にしてきました中小企業の経営のあり方を考えた時に、この事をまとめておくのは有益と感じましたので、解説致します。
■経営者保険について
定義:経営者保険とは、会社の経営者(社長・役員など)に万が一のことがあった際、会社の経営や従業員の生活を守るために加入する保険の総称。
契約形態としては、会社が契約者・保険料負担者となり、経営者本人を被保険者にするケースが多い。
■経営者保険を考える前提と背景
経営者によっても、様々なタイプがいらっしゃいますが、端的に言えば会社の状態は、経営者の思いや考えが反映されて今の状態になっているはずです。
経営者保険と言っても、会社の理念やそれぞれの会社が影響を及ぼす社会や従業員に対する思いと会社の経済的な経営状態とのバランスを取りながら、あるべき形を想定して行く必要があると感じます。
つまり経営者の思いや理想と現実のギャップをバランスよく埋めるために経営者保険は、考えて頂く必要があると考えています。
■経営者保険の主な目的
① 事業継続資金の確保
あなたの会社の経営基盤はどのような状態でしょうか?以下に重要な認識課題があるとすればこの目的についてご一考下さい。
経営者は「会社の頭脳・信用の要」。急な死亡・高度障害が起こると、取引先や金融機関が不安を感じ、資金繰りに支障が出やすいのです。
保険金は「緊急の運転資金」として活用でき、会社が混乱せず日常業務を続けるための“つなぎ資金”になります。
② 借入金・保証債務の返済原資
あなたの会社運営上、資金繰りの方はどうでしょうか?借入に依存している常態となっていないでしょうか?
中小企業では、経営者が会社借入の「連帯保証人」になっているケースも多いです。
経営者が亡くなると、金融機関は遺族に返済を迫るリスクがあります。
保険金を返済に充てることで、残された家族が借金を背負わず、会社の信用も維持できることがあります。
③ 退職慰労金・役員退職金の準備
あなたが勇退していく目途や計画は立っていますでしょうか?もしくは従業員が退職していく際に、その時にあなたはどうしたいと考えていますか?
経営者が引退する際には、長年の功績に報いるため「役員退職慰労金」を支払うのが一般的ですが、まともに試算すれば数千万円〜億単位になる場合も多く、急に現金を用意するのは困難です。
積立型の保険を利用すれば、計画的に資金を準備し、退職金の支払いを安定的に実施することができます。
④ 相続・事業承継対策
事業の存続や継承に関しては、どのように考えていますでしょうか?これも経営者の考え方や思いによって形が、さまざまに変わって行くかと思います。
経営者が急逝した場合、自社株が相続財産となり「相続税」や「後継者への株移転問題」が発生しますが、相続税の納税資金を保険金で準備することで、会社経営に影響を与えず承継を進められます。
後継者への株式買い取り資金や、兄弟間の「遺産分割調整資金」としても活用可能なケースもあります。
※経営者保険は、経営者に万一があった時の 運転資金・借入返済・退職金・事業承継資金 をカバーすることで、会社と家族を守る“企業防衛の備え”です。
■経営者保険を目的別に考える主な保険の種類について
① 事業継続資金の確保
経営者に万一があった場合、運転資金・取引先への信用維持を目的として加入を完投する形になりますが、相対的に少ない保険料で大きな補償を確保できますので、短期的な企業防衛に有効となり、定期保険(死亡保障型)有効と考えられます。
特徴:一定期間(10年・20年など)のみ保障。掛金は安く、大きな死亡保障を確保しやすい。
主な保険金使途
経営者に万一があった場合の 借入金返済資金
事業継続のつなぎ資金
メリット:少ない保険料で大きな保障 → 会社の信用補強に使いやすい
デメリット:期間満了後は保障がなくなる(更新時は保険料が高くなる)
② 退職慰労金・役員退職金・相続対策の準備
経営者の役員在籍期間にもよりますが、多くの中小企業でオーナー会社の場合は、永年代表であることが多いと思われます。こういった場合には、退職金が多額にわたる可能性がありますので、積立性のある保険で計画的に資金準備していく為、終身保険(積立型死亡保障)や養老保険(貯蓄型)が良いと思われます。また、この種類の保険は、会社の資産保有状況によりかなり変動しますが、自社株相続、相続税の納税資金、株式買い取り資金確保にむけて、解約返戻金・死亡保険金を活用することもできます。
終身保険の特徴:一生涯保障が続き、解約返戻金がある。
主な資金使途
経営者引退時の 退職金原資
相続税対策(納税資金準備)
事業承継時の 株式買取資金
メリット:将来的に換金性が高く、資金計画に使いやすい
デメリット:保険料が定期保険に比べ高い
養老保険の特徴:満期までに生存していれば満期保険金、死亡すれば死亡保険金。保障と貯蓄が一体化。
活用目的
退職慰労金や役員退職金の準備
将来の 事業承継資金の積立
メリット:計画的に積立ができ、契約満了時にまとまった資金を会社に残せる
デメリット:保障額は終身・定期に比べるとやや小さい
③ 経営者の病気・けが・入院リスク対策
オーナー企業で代表者が、病気による長期療養によって経営不在となり、医療費負担が大幅に増える、あるいは経営者は労災の対象外でもあります。このような経営者の健康リスクから会社を守るために考えるべき保険としては、医療保険・がん保険・労災上乗せ保険などがあります。
医療保険がん保険の特徴:入院・手術・がん治療など、病気やケガに備える保険。
活用目的
経営者の 病気による長期不在リスク に備える
医療費負担の軽減と、療養中の 生活資金補填
メリット:病気やケガで経営が止まらないようリスクヘッジできる
デメリット:基本的には保障のみで資産形成性は低い
傷害保険労災上乗せ保険の特徴:事故による死亡・後遺障害・入院に備える。経営者は労災対象外のことも多いため有効。
活用目的
事故による突然の経営ブレーキに対応
遺族の生活保障
メリット:コストが安く、補償範囲を広げられる
デメリット:大概の保険会社は、病気には対応できない
まとめ
経営者保険は、目的に応じて使い分けるのがポイントです。借入返済には定期保険、退職金や承継には終身・養老、健康リスクには医療・がん保険といったように、会社の状況や経営課題に合わせて最適化します。
■経営者保険の種類別・加入時の注意点
① 定期保険(死亡保障中心)
注意点
借入金残高や運転資金に見合った保障額にする(過大加入は無駄、過少加入は不足リスク)
保険期間を「借入の返済期間」や「経営者の予定退任時期」に合わせる
更新時の保険料上昇に注意(長期契約の方が安定)
受取人を「会社」にすることで全額損金算入可能
② 終身保険(積立+死亡保障)
注意点
保険料が高額になりやすいため、会社のキャッシュフローを圧迫しない範囲で設計
損金算入不可 → 資産計上扱いになる点を理解しておく
相続対策として活用する場合、受取人を誰にするかで税務上の取り扱いが変わる
解約返戻金を安易に取り崩すと、利益計上され課税負担が発生
③養老保険(満期保険金あり)
注意点
保険料の1/2は資産計上 → 会計処理を誤らないこと
満期時に受け取る保険金は「雑収入」として課税されるため、退職金支払いと合わせて活用するのが一般的
退任予定時期に合わせて満期を設定する必要がある
解約すると返戻率が低くなる場合がある
④ 医療保険・がん保険
注意点
保険料は全額損金算入可だが、解約返戻金がないため「貯蓄性ゼロ」
経営者本人が長期入院した場合の「会社の経営資金」まではカバーできない → 他保険との組み合わせが必要
給付内容(先進医療特約・長期入院特約など)を確認し、不足がないよう設計
⑤傷害保険・労災上乗せ保険
注意点
事故には対応できるが「病気」は対象外 → 医療保険との併用が望ましい
保障額を年収や家族の生活費に見合う金額に設定する
労災上乗せの場合、従業員対象と経営者対象を明確に区分して設計
■総合的な注意点
目的に合った保険選び(借入返済・退職金・承継・健康リスクなど)
税務処理の理解(損金算入の可否や益金計上のタイミング)
キャッシュフローへの影響(高額な積立型は資金繰りを圧迫する恐れ)
受取人の設定(会社か家族かで税務上の取り扱いが大きく変わる)